写真サークルで出会った40代の彼に、気づけばレンズ越しで惹かれていた

写真サークルで出会った40代の彼に、気づけばレンズ越しで惹かれていた

大学で選んだ趣味サークルは写真

大学に入って、何か新しい趣味を持ちたいと思った。
選んだのは、写真サークル。
きっかけは単純で、スマホよりもちゃんとしたカメラで風景を撮ってみたかったから。

サークルは年齢制限がなく、社会人やフリーの人も参加できる。
週末になると、みんなで近場に出かけて撮影会をする。

最初は友達作りの延長のつもりだった。
でも、思ってもみなかった出会いが、そこで待っていた。


サークルにいたのは40代の男性

彼は40代半ばくらい。
黒ぶちの眼鏡に、落ち着いたシャツ姿。
派手さはないけれど、言葉の端々に余裕を感じさせる人だった。

「構図を変えると、もっと雰囲気出るよ」
初めて話しかけられたとき、私は素直に「ありがとうございます」と答えた。

同じ被写体を見ていても、彼の写真はまるで違った。
光の捉え方、影の使い方。
「こんなふうに見えるんだ」と驚かされることばかりだった。

年齢差があるのに、自然と彼に話しかけてしまう自分がいた。


レンズ越しに見える姿に惹かれていく

ある日の撮影会。
川沿いの桜並木を撮っていたとき、ふとレンズ越しに彼を捉えた。

夢中でシャッターを切る姿。
集中するときに少しだけ眉間に寄るシワ。
夕方の逆光に照らされた横顔は、同じサークルの仲間というよりも、
映画のワンシーンのように見えた。

「…何撮ってるの?」
慌ててカメラを下ろすと、彼が笑っていた。

「すごく真剣そうにシャッター切ってたから」

心臓が跳ねたのは、被写体が桜じゃなくて、
彼だったから。


撮影帰りの何気ない会話で心が揺れる

撮影会の帰り道、駅まで二人で歩いた。

「大学生っていいね。未来がたくさんあって」
「でも、不安もいっぱいですよ」

そんな会話が自然に続いた。

「僕もその頃に戻れたらなあ」
彼が笑いながら言う。

父親世代に近いはずなのに、不思議と距離を感じなかった。
むしろ、同年代の男子学生にはない安心感と大人の余裕があった。

「また一緒に撮りに行きましょう」
そう言ったのは私の方だった。


女子大生の私が抱えた“大人への妄想”

家に帰り、撮った写真を整理していると、
フォルダの中に彼を撮った1枚が混ざっていた。

逆光に浮かぶ横顔。
私が惹かれてしまった瞬間が、そのまま切り取られていた。

指でなぞりながら、思った。

——もし私が同年代の男性に向けた感情と同じように、
彼を意識してしまったら?

——もし次の撮影会で、隣に座ってランチを食べたら?

——もし、もっと近づいたら…。

理性が「ただの妄想」と言い聞かせる。
でも、胸の奥で熱を帯びる気持ちは止まらなかった。

人妻でもなければ、不倫でもない。
けれど、年齢差があるからこその危うい妄想に、
私は今日も静かに囚われている。